Contents
日本では普及していないMA(マーケティング オートメーション)ツール。現に日本企業のMAツール導入率は1.2%、上場企業だけを見ると11.3%という数字が表わしているように普及していないことがよくわかります。
アメリカでは、全企業の74%がMAツールを導入しています。しかも、11人以上の企業の導入率は91%です。
MAツールの普及利率はこんなにも違います。そして、営業生産性を比較するとアメリカは日本の5倍以上です。
今回は、営業生産性を上げることに欠かせないMAツールについて解説します。
外部環境の変化により企業の体質も変わらざるを得ないことがあります。
ちょうど今がその時ではないでしょうか。
・少子化による労働人口の減少
・転職者の増加
・生産性が上がらない
こんなにも変化が激しい時代に企業体質も変化しなければ生き残っていくことができません。
2020年~2035年にかけて労働人口は12%不足するといわれています。
2030年には644万人の人手不足になるようです。
そうなると人材の確保が難しくなるだけではなく、1時間当たりの賃金も現在より1,000円以上高くなると予測されています。
しかも、営業職は現在のところ不人気職1位なので、さらに確保が難しくなります。
このような外部環境を考えると、今までのように営業担当者任せの営業方法では、既存客のフォローに追われ、新規客の開拓がほとんどできません。
この問題を解決するには、女性を雇用する、シニアを雇用する、外国人を雇用する、生産性を上げるの4つの方法があります。
コストを抑えるには、生産性を上げることに取組むことがおススメです。
かつては終身雇用といわれた日本の企業も今では、アメリカ同様にスキルアップして転職という考えの人が増えてきました。
ビズリーチのコマーシャルでもわかるように、転職サイトに登録しておくと自分の通知表代わりになるという考えも当たり前になってきたのかもしれません。
マイナビに調査によると、2022年の20~50代正社員の転職率は7.6%で過去最高になっています。
この傾向は続くと予想されているので、自社の社員もいつ転職するといってもおかしくはありません。
生産性が上がらない一番の理由は、仕事の取り組み方です。
営業を例にとると、見込み客開拓➩見込み客と距離を縮める➩提案や見積の機会を与えられる➩成約するという流れを営業担当者が一人で行っています。
当然、仕事に結び付くまでに膨大な時間がかかります。
欧米の場合は、これら一連の営業活動が分業化されています。
一般的な分業体制は、デジタルを使って見込み客を集める部隊➩集めた見込み客へのアプローチを考える部隊➩定期的に見込み客に連絡したり、アポを取る部隊、クロージングする4つの部隊に分かれています。
営業マンの理想的な時間配分をご存じでしょうか?
顧客への営業活動の時間は、全体の50~55%
提案書準備などの時間は、全体の35%
営業活動ではない社内業務の時間は10~15%
ところが、日本企業の場合は、多くの人が商談の準備に時間を取られ、顧客との商談に時間を割けていません。
日本の営業生産性はOECD加盟国38カ国中28位と平均を下回っています。
この差はDX化によるところが大きいです。
営業においてDXとは、WebサイトやSNS、動画、セミナーなどネットから集めたリード(見込み客)や展示会や交流会などから集めたリードをMAツールに登録し、リードの関心を上げ成約に結び付けることです。
要するに、MAツールとは、獲得したリードの興味関心を自動的に引き上げ、営業担当者が成約しやすいようにするものです。
しかし、MAツールの導入は、国内企業ではわずか1.2%しかありません。上場企業だけを見ても11.3%と低い水準です。
アメリカのMAツール導入事情は、全企業の74%が導入していて、11人以上の企業になると91%が導入しています。
その結果として、営業生産性は、日本企業1に対して5以上と大きな差があります。
営業生産性を低下させる原因はいくつかあります。その代表的なものが以下です。
・目標やプロセスが不明瞭
・書類作成や会議の時間が多い
・営業活動の管理が不十分
・分業化の遅れ
・属人化の浸透
中小企業ではよくあることです。
営業会議で数字の目標を発表するのですが、具体的にどのクライアントにどのような提案をして、どんな仕事が発生するから数字は○○というような具体性はありません。
数字目標を立てるのであれば、達成するまでのプロセスを鮮明に具体化しないので、営業担当者のモチベーションが上がらず、生産性が低下してしまいます。
営業担当者がクライアントと話をして、次の仕事につながるかもしれない案件を手に入れた時に提案書づくりが始まります。
これを作るのにかなりの時間をかけるのが日本企業の悪い癖です。
営担当者の本来の仕事は、クライアントと会い仕事につながる情報を引き出すことです。
しかし、時間をかけるのは提案書などの資料作りです。
その結果、営業活動の資料作りにかける理想の時間は、35%に対して55%の時間をかけています。
営業部長や課長は、それぞれの営業担当者の動きを把握できていますか。
誰がどこのクライアントにどのようなことを提案し、どのように仕事を進めているのかを把握している長は少ないと思います。
だから、部下が悩んでいるときに手を差し伸べることができず、問題が大きくなってしまったりします。
一人一人の動向を把握し、絶えず声をかけて担当者のモチベーションを上げるようにするのが理想ですが、ツールがないと把握が難しくなります。
先にも言ったように、見込み客開拓➩見込み客と距離を縮める➩提案や見積の機会を与えられる➩成約するという流れを営業担当者が一人で行っています。
要するに、営業担当者に新規開拓も既存客のフォローも任せてしまっているということです。
その結果、担当者が病欠などで出社できなかったときにクライアントに迷惑をかけることになります。
それだけなら、まだいいのですが、エース的存在の営業担当者が退職したときにクライアントもなくなって、売上が激減することもあります。
これらのことを防ぐには、営業を担当者に任せるのではなく、営業部として分業することです。
・デジタル営業部隊
・企画部隊
・フォロー部隊
・顧客管理&クロージング部隊
上記のように4つに部隊を分けることで営業活動を分業化します。
デジタル営業部隊の役割はリードの発掘です。
Webサイト、SNSの運営、動画の配信、セミナーの企画運営などをすることで多くのリードを獲得することが目的の部隊です。
リードを興味度1・2・3・4に分けて、それぞれの興味度によって配信するメール内容を分け、興味度を上げるためのアプローチ方法を考える部隊です。
分類したリードが興味ランクが上がるたびにお伺いの電話をしたり、営業が持ち込んできた案件の提案書を作成したりする部隊です。
ホットリードと個人面談で成約することや既存客をフォローする部隊です。
このような分業化ができていないので、営業の生産性が上がらなくなっています。
属人化の浸透とは、簡単に言えば人に頼って仕事をするということです。
例えば、工場もかつては人力により流れ作業だったものが、ロボットを使ってやるようになり、経費も下がりミスも少なくなり、その結果として生産性が上がりました。
営業においても営業担当者任せになっている企業が大半です。だから、欧米に比べて営業の生産性が低いのです。
人を外すことはできませんが、MAツールなどのマーケティングツールを導入することで属人化から脱却することで生産性を上げることができます。
営業生産性を上げるためにはどうすればよいのでしょうか。
その方法は4つです。
・業務の標準化
・業務の可視化
・業務の自動化
・ツールの導入
業務の標準化とは、属人化しやすい営業方法やノウハウを可視化することです。
何か困ったとき「あの人に聞けばわかるよ」になっていたとしたら、あの人が退社すれば、誰も解らなくなってしまいます。
そんなことにならないように、誰もが困ったときに解決できるように可視化しておくことが大切です。
トップ営業担当者の行動や顧客とのコミュニケーション方法をまとめて可視化しておくと営業全体のスキルアップに使うことができます。
業務の可視化とは、見える化することです。
営業担当者の動きを、「誰が」「何に対して」「どれぐらい時間を掛けて」営業活動を進めているのかを見える化する。
案件に対しては、「どの商談が」「どこまですすんでいるか?」「どの段階でどのくらい時間がかかっているか?」を可視化する。
このように可視化すれば、適切なアドバイスをすることも、人が足らなければ応援することもできるようになります。
タスク管理や、データ入力など自動化できるものは自動化して、営業担当者が直接売上につながる業務に時間を使えるようにすることで、顧客と向き合う時間が増え、付加価値を提供する活動により集中して取り組むことができるようになります。
リードの育成を自動化し、新規客の獲得をスムーズにするためにはMAツールが必要です。
また、営業活動のプロセスや情報を管理するにはSFAツールが必要です。
MAツール、SFAツールを導入することで、営業活動を自動化することができ、少数精鋭で生産性を上げることができるようになります。
営業生産性が上がるとどんなメリットがあるのでしょうか。
メリットは以下になります。
・残業時間の削減
・コスト削減効果
・利益の増加
・人材不足懸念の解消
残業時間が削減されると、じぶんのじかんや家族との時間を増やすことができます。
また、体への負担や精神的な負担も軽減されるだけでなく、心身の健康が維持されることで集中力が高まり、仕事のケアレスミス防止にも役立ちます。
そして、個人のスキルアップのために時間を使うことができるようになります。
少ない労働力で成果を生み出せるようになるので、人件費のコスト削減につながります。また、コスト削減できることで、研修や教育、設備投資などに経費を使うことができ、さらに生産性を向上させることができるようになります。
コストが削減されることで、利益は増加します。
また、少ない労働力で成果を生み出す仕組み化できれば、さらに利益を増加させることができるようになります。
少子高齢化により労働人口が減少していくと、人材の確保が難しくなります。しかし、ツールを使うことで生産性をアップさせる仕組みができれば、必要最低限の人材が確保できればよくなるので、人材不足に悩む必要はなくなります。
また、生産性が向上すれば、職場環境が改善され、従業員の給与も上げることができるようになるので、離職率も低下します。
MAツールとは、新規顧客獲得における一連のマーケティング施策を、管理・自動化・効率化するツールです。
見込み顧客自身の固有情報や各種情報の一元管理、育成を行い、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行うことで、生産性を向上させる役割を果たします。
新規顧客を開拓するには、それぞれの見込み客が持っている興味や関心、その行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供することができます。
MAツールはいろんな種類があります。搭載機能や使いやすさ、価格も様々です。
ツールの選び方は、運用のしやすさと価格とサポート体制です。
高機能が搭載されていても、ほとんどの場合、すべてを効果的に使うことはできません。ですから、スペックが多少、落ちても運用のしやすさを選ぶ方がよいのです。その方が、効果を出しやすくなります。
価格については、高いよりも安いに越したことはありませんが、できることが少なすぎて安いツールを選ぶのは考えものです。
効果を出せるだけの機能が掲載されていて価格の安いツールを選ぶと長期的に使うことができます。
マタ、MAツールはサポートなしに使うのは困難です。使い方、活用の事例などサポート体制が整っているツール選ぶようにしてください。
営業DXに欠かせないMAツールの役割について解説してきました。
MAツール導入率の高いアメリカの営業生産性が日本の5倍以上であることからわかるように、MAツール抜きで営業の生産性を上げることはできません。
しかし、日本企業のMA導入率は、世界の中でもかなり遅れていて、従来通り属人化した営業スタイルになっています。
少子高齢化で人材の確保が難しくなる前に、MAツールを導入し、営業の仕組化を作ると生産性が高まり、少数精鋭で営業活動ができるだけでなく、利益を増加することができます。