Contents
DX(Digital Transformation)とは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と、2004年にスウェーデンのウメオ教授が仮説を立て提唱しました。
日本では経済産業省が
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
と定義しています。
いずれにせよ、DXが叫ばれる中、働き方は着実に変わってきています。
今回は、見込み客獲得に焦点を当てたDXの取組みに対して話していきます。
コロナ前には、ほとんど普及しなかったZoomなどのオンラインツール。コロナ後には一挙に普及しました。
その結果、在宅ワークが増えました。これにより、会社に出勤しなくてもできる仕事があることが分かり、企業も広いスペースから狭いスペースに移るようになりました。
コロナ後も在宅ワークが定着するようになりました。
営業のスタイルも随分と変わりました。
コロナ前は、新規開拓は営業マン任せでしたが、コロナで人と会うことが難しくなると交流会にも行けず、飛び込み営業もできず、新規開拓が思うように進まなくなりました。
そこでマーケティングDXに早くに取組んだ企業は、広告を使って見込み客をセミナーなどに呼び込み、チームで見込み客を管理して成約まで導いていくというスタイルにシフトしました。
このやり方の方が、見込み客を集客してから成約まで導いていくスピードは、営業マンに任せるよりも断然に早く、しかも、多くの成約を得ることができます。
今後も見込み客開拓は、営業マンに任せるのではなく、企業が広告などを使って集客し、チームでお客様を育てていくスタイルに変更する企業が増えていくと予測しています。
顧客情報や市場調査などをデータ化し、営業に活用するだけでなく、集客においてもインターネット広告だけでなく、チラシやDMも活かしながら対応していくマーケティングをマーケティングDXと言います。
マーケティングDXにより、マーケティングに変革をもたらします。
マーケティングを進めていくと膨大なデータが集まります。そのデータの収集や処理にかかる時間は単純作業にもかかわらず相当な時間を要します。
データ処理をデジタル化することで、人の手が空き、次の施策に時間を使うことができるようになります。
また、見込み客にアプローチするためのメール配信などもコンピュータに任せられるようになると時間が空くようになります。
要するに、手間がかかっていた時間を省き、より効果の高い仕事に時間を割くことができるようになります。
マーケティングDXに取組んでいくと、データが蓄積されていきます。その結果、これらのデータを基に判断することができるようになるので、判断のスピードが上がるだけでなく、的確な判断ができるようになります。
見込み客を集める上で費用対効果は大切です。
見込み客一人を獲得するのにいくらかかったのかを把握しておく必要があります。
それを行った手法(例えば、Google広告、Facebook広告、テレアポなど)ごとに集計を取らなければいけないのですが、これも単純作業でありながら手間がかかります。
これらを最初からDX化しておけば、集計も分析も簡単にできるようになるだけでなく、費用対効果がすぐにわかるので、どの手法が効果的かも瞬時に判断することができるようになります。
マーケティングDXとデジタルマーケティン。同じように思われがちですが、まったく異なるものです。
デジタルンマーケティングとは、デジタル技術を利用したものです。
かつては、新聞やチラシ、DMや雑誌、看板などが宣伝の主流でした。しかし、現在はSNSやインターネット広告が主流になりました。
これがデジタルマーケティングです。
マーケティングDXとは、デジタルマーケティングで得たデータを収集・分析することで営業のやり方そのものを変革することです。
ですから、デジタルマーケティングを行う場合、マーケティングDXは切っても切れないものなのです。
経済産業省は2025年までにDXへの対応を済ませるように促しています。また、「DX推進ガイドライン」には、「ビジネスや仕事の仕方、組織・人事の仕組み、企業文化・風土そのものの変革が不可欠」と定められています。
これに基づいてマーケティングDXを進めていく必要があります。
大手・中堅企業の8割以上はマーケティングDXに取組んでいますが、500人未満の企業では、約50%しか取組んでいません。
その理由は大きく3つです
一番の理由は、マーケティングDXを推進する人材が不足していることです。
マーケティングDXを推進するには、デジタルマーケティングの知識や経験が必要なだけではなく、その後の顧客データを読み解くスキルも必要になります。
ところが、企業の規模が小さくなればなるほど、これらのことができる人材が不足しています。
経営者にマーケティングDXの知識がないことも取組めない理由の一つです。
中小企業においては、経営者が知らないことを部下に任せて行うという風土がありません。
なぜなら、知らないことは判断できないからです。判断ができなければ、間違った方向に進んでいるのか、正しい方向に進んでいるのかさえ分かりません。
この不安があるので、マーケティングDXの取組みができないのです。
マーケティング分野において、成功体験はどこの企業も持っています。
この成功体験から脱却するのがとても難しいのです。
過去から続いている広告宣伝や営業のやり方まで見直すことになります。そうすると一時的な売り上げの減少につながる可能性もあります。
長年のやり方を変えることは、蓄積してきたノウハウもあるので、新しいことへの取組みが困難になります。
電通が、マーケティングDX[に取組む企業の調査を実施しました。
対象は。従業員500人以上で2021年12月2日~12月9日に実施されました。
その結果によると、マーケティングDX[に取組む企業は約9割、成果が出ている企業は、そのうちの6割ということです。
このようなデータを見ると、500人以下の企業も早く取り組んだ方がよいことが分かります。
マーケティングDXで成果を上げるためにするべきことは4つあります。
・デジタルマーケティングで見込み客を集めること
・マーケティングDXで顧客分析すること
・個人ではなく、チームを組んで推進すること
・見込み客を育てること
これらを一つずつ説明します。
今までは、新規開拓は営業マン任せでした。ところが、今後は、企業が見込み客を集めて、チームで管理していくようになっていきます。
そのためには、デジタルマーケティングが必要になります。
SNSの投稿、SNSの広告、Google広告など、複数の広告や投稿で見込み客を集める。そのためには、SNSのことを理解している人材が必要になります。
デジタルマーケティングで集めた見込み客を分析する必要があります。
それは、HOT度合いです。
見込み客がどの段階にいるのかツールを用いて計測することです。
メルマガなど継続的なアプローチをしたことによっても計測できます。
ここでも分析ツールは何を選ぶか、分析の方法はどうするのかを決めて行うことが大切です。
そのためには、ツールの情報を集めることです。
マーケティングDXに取組むと、一人の担当者ではできません。
成果を上げている企業の場合は、マーケティングチーム営業チームに分けて、役割を分担させています。
マーケティングチームは、広告を含めた見込み客獲得、その後のアプローチ方法や情報作成を担い、営業チームは、顧客の分析やセミナーの開催などで、見込み客を育て成約することを担っています。
このようにチームをつくって顧客獲得していくことが大切です。
見込み客には段階があります。
興味だけ、詳しく知りたい、他社と検討している、導入を考えているなどの段階です。
これらをツールを使うことによって見分けることができます。
例えば、メールマガジンを定期的に送ることによってウェブサイトに訪れる回数が増えたなどを計測することができるようになります。そして、ある一定数を見るようになったところで電話でアプローチして、面談日を取り付ける。
また、見込み客の興味段階により、それに合ったセミナーを開催し、興味の度合いをアップしていくのもいいでしょう。
このように見込み客を育てていくことも大切なマーケティングDXの一つです。
マーケティングDXに取組むと、人材の不足、社内の浸透、過去のやり方の脱却など様々な問題が出てきます。
しかし、これらの問題をクリアすることで、労働不測の問題、生産性の減少など、今後起こりうることも解決することができます。
現に、マーケティングDXに取組んで1年後に売上140%達成している企業も出てきています。
業績が伸びた一番の要因は、従業員一人当たりの生産性が上がったことです。
今後の働き方を考えるとマーケティングDXに一日も早く取り組む方がよいでしょう。